@article{oai:kansai-u.repo.nii.ac.jp:00008650, author = {中宮, 光隆}, issue = {3}, journal = {關西大學經済論集}, month = {Dec}, note = {シスモンディ経済学における再生産論は、ベースとして理論的に展開される均衡論と、現状分析を加味した不均衡論(恐慌論)の二重構造からなっている。彼の経済学を「過少消費説」と特徴づける根拠として引き合いに出されるシスモンディの再生産論=「円環運動」は、実は均衡論として論述されたものであり、彼の恐慌論ではない。彼の恐慌論は、均衡論をベースにしたうえで、それを破壊する不均衡論として展開される。その不均衡論(恐慌論)は、生産(供給)面からの、市場の状況を顧慮しない生産者(諸資本)間競争の論理と、消費(需要)の面からの、人々の欲求が有限であることと分配の不平等による社会総体としての消費(需要)量の狭小さの論理の両面から展開され、しかも何らかの人為的な対応策がとられなければ不均衡は必然的に生じる、との論理で構成されている。したがって、シスモンディは、恐慌の回避策=順調な再生産の実現のために、生産者間の競争を制限する政府の役割と分配の平等化を主張する。 問題は、彼のこのような論理の背後にある思想はいかなるもので、それを彼はどこから獲得したかである。その思想は、「効用の原理」=功利主義である。そして彼はその思想を、ジュネーヴで活躍した思想家たちから得た。そのひとりは自然科学者であり思想家でもあったピエール・プレヴォであり、さらに18世紀末にジュネーヴで創刊された『ビブリオテーク・ブリタニク』誌の編集者や協力者たちであった。これらの人々は、明確な功利主義思想に基づいて出版と啓蒙の活動を行っていた。シスモンディが、恐慌論のひとつの基軸的論理として狭小な消費とその原因としての分配の不平等に着目し、政府の役割とともに平等な分配こそが経済危機の克服策と考えた思想は、まさに若きシスモンディと交流があったこれらの人々からの影響によるものであった。}, pages = {241--273}, title = {功利主義思想とシスモンディ経済学 : 経済危機回避策の思想基盤}, volume = {67}, year = {2017} }